淋菌のメカニズム解明
オレゴン州立大学の研究チームは、「Journal of Biological Chemistry」にて、細菌外膜のタンパク質により、淋菌(ナイセリア属グラム陰性菌)の病原性が強められると発表した。
今回の発見は非常に重要であり、メカニズム解明は抗生物質やワクチンの開発に活かされ、新たな治療法の確立につながると期待される。
淋菌・淋病とは
淋菌は淋病の病原菌であり、性交為により感染する。淋菌は、スーパー耐性菌(あらゆる抗生物質に耐性があり、死滅しない超強力な細菌)である。
淋病は、淋菌性子宮内膜炎、骨盤内炎症性疾患(PID)、子宮外妊娠、精巣上体炎を引き起こし、男性・女性不妊の要因となる。また、母親が淋病に感染している場合、誕生した子供は盲目のリスクが増加するといわれる。
淋菌の細胞外膜
淋菌などグラム陰性菌では、BMA複合体(βバレル複合体)より細菌外膜のタンパク質が生成される。BMA複合体はBamA、BamD、BamEにて構成される三次構造のタンパク質であり、触媒活性をもつ。
それゆえ、細菌外膜のタンパク質は、栄養素の吸収、分泌作用、シグナル伝達、外膜生合成、運動、定着、免疫応答において重要な生理的・構造的機能をもち、病原性を強める。
細菌外膜にあるタンパク質のメカニズム
オレゴン州立大学のアレクサンドラ・シコラ(Aleksandra Sikora)教授とニコラス・ノイナジェ(Nicholas Noinaj)准教授は、細胞外膜のBMA複合体(βバレル構造複合体)について分析した。
実験にてBamEを取り除いたところ、一部の細菌では、細胞内にあるBamDが表面に露出した。BamEの消失は、細胞外膜の構造を変化させ、細胞の成長を遅める傾向が認められた。
BamEは細胞表面に露出し、細胞の生存性における影響はない。一方、BamDは細胞内にあり、細胞の生存性に大きな影響を与える。
シコラ教授は、BamE消失とBamD露出は全てのグラム陰性菌に当てはまらなかったが、細胞外膜のメカニズムを活かして抗生物質やワクチンの感受性を高められると考える。
(画像はPixabayより)

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