採卵タイミングと出生率
カロリンスカ研究所は、「Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavica」にて、体外受精と顕微授精において、採卵タイミングより2、3日遅れて卵子を採取したことが出生率を低下させる要因に成り得ないと発表した。
なお、体外受精では、体外にて採取した卵子と精子が自然に受精することを促す。一方、顕微授精は、採取した卵子に対して精子を人為的に注入し、受精させる。
採卵可能日が限定される女性を対象とした臨床試験
研究チームは、体外受精や顕微授精サイクル1回目にて単一胚移植を受ける女性1000人を対象に、採卵タイミングと採卵日の間隔が出生率に与える影響を考察した。被験者は、土日勤務などの理由により採卵可能日が限定される。
研究チームは、被験者の女性より、卵胞3個の大きさが17mmに達してから0~1日目に760個、2~4日目にて216個の卵子を採取した(17mm未満での採卵数24個)。
なお、理想的な採卵日は、卵胞の大きさが17mmに達してから3日以内であるといわれる。
採卵タイミングと採卵日の間隔による影響
臨床試験より、0~1日目に採卵した場合、妊娠率28.3%、出生率26.2%であった。2~4日目に採取した卵子では妊娠率29.6%、出生率25.9%となり、理想的な採卵日における確率と大差ないことが認められた。
また、性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)をアンタゴニスト法(腹部皮下注射)にて排卵誘発を行った場合、アゴニスト法(点鼻薬、皮下注射)と比べ、2日目以降の採卵は妊娠率を下げる要因になると報告されている。
ケニー・ロドリゲス・ウォルバーグ(Kenny Rodriguez-Wallberg)は、体外受精や顕微授精における採卵タイミングと採卵日が3日程度空いても妊娠率や出生率に影響は出ないと述べている。しかしながら、アンタゴニスト法では、採卵タイミングと採卵日の間隔が空くことにより妊娠率は下がると強調する。
(画像はPixabayより)

Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavica
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/aogs.13235/fullNEWS MEDICAL
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