成長ホルモン補充療法と体外受精
カーティン大学生物医療・健康科学部の研究チームは、「BMJ Open」にて、成長ホルモン補充療法が体外受精の妊娠・出産率を高めると発表した。
体外受精における妊娠は、女性の年齢、胞状卵胞数、受精卵(胚)の質、成長ホルモン量により予期できたと報告されている。
成長ホルモン補充療法の効果
研究チームは、体外受精を受ける女性400人を対象に、成長ホルモン補充療法と体外受精の妊娠・出産率の関連性について調査した。
被験者のうち161人に成長ホルモンを補充したところ、受精能力のある卵母細胞や子宮に移植可能な受精卵(胚)が増え、胚移植率が高まることが認められた。成長ホルモン量は、年齢、胞状卵胞数、受精卵(胚)の質に応じて、個々に調節された。
成長ホルモン補充療法の対象となった女性は抗ミュラー管ホルモン(アンチミューラリアンホルモン)の分泌量が少なかったという。抗ミュラー管ホルモンは、発育過程にある卵胞から分泌されるホルモンである。
高齢出産と成長ホルモン補充療法
研究は、成長ホルモン補充療法は妊娠可能性を高め、妊娠率は3.42倍、出産率が6.16倍に増加したと報告している。
特に、35歳から39歳の女性における妊娠率は、他の年齢層と比べて4.5倍増となった。また、35歳以上45歳以下の出産率は3.81倍となり、35歳以下の女性における出産率に並んだ。
年齢層別では、35歳以上40歳未満が14.68倍、40歳以上45歳未満は5.79倍に増加した。
更なる研究の必要性
ジョン・L・ヨヴィッチ(John L. Yovich)氏は、今回の研究を通して、成長ホルモンにより体外受精の妊娠・出産率が高まることが認められたと述べている。一方、受精卵の質は向上しなかったという。
また、女性の年齢は35歳以上40歳未満に限られ、今後、35歳未満や40歳以上の女性に対する効果に関しては研究の余地がある。
しかしながら、成長ホルモンは、受精卵(胚)の質を改善して子宮への着床を促す効果、女性の生殖能力を高める効果があると期待される。
(画像はPixabayより)

BMJ Open
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