新たな画像診断技術
アデレード大学ARCセンター・ナノスケール・バイオフォトニクス(CNBP)は、「Human Reproduction」にて、子宮胚移植において新たな画像診断技術の開発に成功したと発表した。
新たな画像診断技術ではハイパースペクトルイメージングにより、初期胚の質を診断できるという。
ハイパースペクトルイメージングとは
ハイパースペクトルイメージングとは、紫外可視近赤外線域(紫外線、可視線、近・中・遠赤外線)の各波長域にて対象物の反射光(スペクトル)を撮影し、可視化する技術である。
ハイパースペクトルイメージングを医療に用いる場合、細胞活動にて自然放出される光(自家蛍光)を測定する。自家蛍光は、細胞代謝(呼吸、消化など細胞内にて生じる物質変換過程・化学反応)に応じて変化する。
体外受精の成功率向上
メル・サットン・マクドウォール(Mel Sutton-McDowall)教授は、ハイパースペクトルイメージングにて初期胚の細胞代謝を測定することにより、子宮移植の実施前に初期胚の機能を確認でき、移植胚の選択における客観的尺度になると考える。
現在、着床前スクリーニング(PGS)は光学顕微鏡下にて行われ、胚の質を個々に識別できる。識別対象は単一であり、複数の胚を比較することは不可能である。
一方、ハイパースペクトルイメージングでは、個々の胚がもつ特異的性質を画像診断できる。胚の生存能力や着床能力を比較・評価し、複数の胚から着床率・妊娠率が最も高く、子宮移植に最適な胚を選び出せるという。
サットン・マクドウォール教授は、将来的にハイパースペクトルイメージング技術の併用により、従来の着床前診断、着床前スクリーニングの精密度が高まると期待する。
(画像はPixabayより)

The University of Adelaide
http://www.adelaide.edu.au/news/news94522.html