卵母細胞数の重要性
ニューサウスウェールズ大学のクリストス・ヴェネティス(Christos Venetis)博士は、第33回欧州ヒト生殖医学会(ESHRE 2017)にて、卵母細胞の数が増加すると、染色体数が正常である胚が生成される確率は高まると発表した。体外受精において、正常な染色多数である胚は胚移植に適し、高い確率にて妊娠に至るといわれる。
第33回欧州ヒト生殖医学会は、7月2日から5日に掛けてスイス・ジュネーブにて開催された。
正常な染色体異数の胚と女性の年齢
ニューサウスウェールズ大学の研究チームは、医療機関3ヶ所にて、体外受精724サイクルを対象に、着床前スクリーニング(PGS)を実施したところ、正常な染色体数である胚の数は女性の年齢と負の関係であった。一方、卵母細胞の数と正常な染色体数である胚の数は正の関係である。
臨床試験を通して、卵母細胞より得られる胚の数(正常な染色体数)は、年齢の影響を受けたことが認められた。34歳の女性では、卵母細胞5個から14個より、正常な染色体数である胚1個から2個が形成された。38歳の女性では、正常な染色体数1個から2個に対して、卵母細胞10個から24個を必要とした。
正常な染色体数の胚と体外受精成功率
体外受精の累積出生率は、卵母細胞数の増加に伴い、高まるといわれる。ヴェネティス博士は、正常な染色体数である胚は、一度の卵巣刺激にて妊娠に至る可能性が高いと説明する。また、子宮への着床率が高く(60%)、流産率は低く(6%)、体外受精の成功率を高めると述べている。
卵母細胞数を増やすことにより、正常な染色体数である胚が増え、体外受精による妊娠・出産率の向上につながるという。先行研究では、体外受精による妊娠可能性を最大限に高める卵母細胞数を8個から18個と報告している。
しかしながら、卵母細胞数が15個を超えた場合、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)であるリスクが高まる。卵母細胞の標準数は10個から15個程度であり、卵巣刺激により卵母細胞を標準数に近づけ、卵巣反応を改善させることが重要であるといえる。
(画像はPixabayより)

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