卵母細胞とセキュリン
モナシュ大学臨床医学研究所(オーストラリア・メルボルン)とユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン(イギリス・ロンドン)の研究チームは、「Nature Communications」にて、卵母細胞のセキュリン不足が、老化した卵母細胞における染色体分配の誤りを引き起こすと発表した。
加齢に伴い、染色体分離に関与するタンパク質であるセキュリン量は減少し、卵母細胞の染色体異常、流産を引き起こす要因に成り得るという。
染色体分配におけるセキュリンの重要性
卵母細胞の加齢に伴い、誤った染色体数で分配される可能性は高まり、40歳以上の女性40~60%は卵母細胞の減数分裂にて染色体分配の誤りが生じているといわれる。
マウスの卵母細胞を観察したところ、セキュリン量が少ない場合、減数分裂において染色体分配の誤りが引き起こり、胎児の成長に影響を与えたという。
マウスの対比実験
研究チームは、年齢の若いマウス(1ヶ月)、年齢の高いマウス(13~14ヶ月)を対象に、卵母細胞の減数分裂を観察したところ、加齢に伴い、マウスの卵母細胞はセキュリン量が減少することを発見した。
卵母細胞は2段階の減数分裂を経て卵子となり、排卵を迎える。減数分裂において、姉妹染色分体は、セパラーゼにより適切なタイミングにて分離する。一方、セキュリンは、セパラーゼの活性化を抑制する。セキュリンにより正しい数の染色体が分配される。
老化したマウスの卵母細胞における減数第二分裂(減数分裂の第二段階)ではセキュリン量が不足し、染色体分配の誤りが生じたと報告されている。染色体分配の誤りは、年齢の高いマウスが45%、年齢の若いマウスは15%であったという。
(画像はPixabayより)

Nature Communications
https://www.nature.com/articles/ncomms15346#abstract