子宮卵管造影における油性造影剤の効果
オーストラリアとオランダの研究チームは、「The New England Journal of Medicine」にて、子宮卵管造影において油性造影剤を用いた場合、女性の生殖能力が向上すると報告した。油性造影剤により子宮や卵管が洗浄され、妊娠しやすい状態になるという。
なお、アデレード大学ロビンソン研究所のベン・モル(Ben Mol)教授は、カナダ・バンクーバで開催された第13回世界子宮内膜症学会議(WCE2017)にて、研究成果を発表した。
油性造影剤により生殖能力の向上
子宮卵管造影(HSG)の目的は、子宮の形状、卵管の通過性における検査である。水性、油性の造影剤を子宮から注入し、レントゲンを通して造影剤の拡散を確認する。造影剤の拡散状況は卵管の閉塞、卵管と卵巣の癒着などの発見に効果的である。
研究チームは、オランダ国内27ヶ所の医療機関にて女性1119人を対象に、油性、水性造影剤を用いて子宮卵管造影を行った。
子宮卵管造影にてヨード化脂肪酸エチルエステルからある油性造影剤「Lipiodol Ultra-Fluid(リピオドール)」を使用した女性のうち、検査後6ヶ月以内の自然妊娠率は約40%であった。一方、水性造影剤を使用した女性の場合、29%が自然妊娠に至った。
新たな不妊治療の糸口
これまで、子宮卵管造影に伴い、子宮や卵管は油性造影剤により洗浄され、軽度の卵管閉塞は解消されるといわれてきた。
モル教授は、現状、油性造影剤が妊娠率を高める理由は解明されていないと述べている。しかしながら、子宮卵管造影の検査費用は、体外受精と比べ、著しく安価である。その為、研究チームは、油性造影剤による子宮卵管造影が新たな不妊治療の糸口になると期待する。
(画像はPixabayより)

The University of Adelaide
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