マウスの人工卵巣作製
ノースウェスタン大学フェインバーグ医学校などの研究チームは、「Nature Communications」にて、不妊である雌マウスに対して、3Dプリンターで作製した人工卵巣を移植したところ受精に成功し、出産に至ったと発表した。
ゼラチン素材による人工卵巣
卵巣組織である細胞外マトリックスに類似したゼラチン素材を3Dプリンターのインクとして用いて、交差結合する人工卵巣を作製した。
細胞外マトリックスの主要タンパク質は、コラーゲンであり、コラーゲンの主成分がゼラチンとなる。ゼラチン素材は、99%水分素材のヒドロゲルと少量のポリマーにて生成されている。
作製における最適温度
連続して交差結合する人工卵巣作製において、ゼラチン素材の温度を30度に維持する必要があると報告されている。
研究チームによると、ゼラチン素材にて交差結合を誘発することは容易ではなく、人工卵巣作製における温度管理が非常に重要となるという。
ゼラチン素材の温度が33度を下回る場合、三重螺旋形成となる箇所にて交差結合は誘発された。一方、33度を上回る場合、ゼラチン素材は液体化する。
不妊治療への活用にむけて
研究では、雌マウスから摘出した卵胞を人工卵巣に入れて体内に移植したところ、出産に至った。研究チームは、3Dプリント技術を不妊に悩む女性の治療法として活用できると期待する。
(画像はPixabayより)

Nature Communications
https://www.nature.com/articles/ncomms15261