精子検査と精子の質
シェフィールド大学放射線医学研究科、生殖・発生発達成育研究科の合同研究チームは、「Molecular Human Reproduction」にて、磁気共鳴分光により精子分子を検査し、精子の質を判断できると発表した。
磁気共鳴分光の精子検査
磁気共鳴分光の精子検査は、体内細胞・組織の画像解析に類似した技術である。例えば、癌治療における病理検査では、磁気共鳴分光により細胞組織の分子構造を分析する。
合同研究チームは、精液中の分子ではなく、精子中の分子が分析可能となり、画期的な検査方法であると述べている。
磁気共鳴分光の精子検査では、採取した精子サンプルに対して、遠心分離機にて数回程度の高速回転で精子洗浄を行う。精子洗浄にて不純物は除去され、精子は濃縮される。
濃縮された精子を専用スキャナーに入れて強力な磁石のエネルギー振動を与え、精子中にある分子の反響音を聞くことにより、精子の質が判断できるという。
画期的な検査方法
健康な男性を対象に臨床試験を行ったところ、精子の成分であるコリン(ビタミンBの一種)、グリセリルホスホリルコリン(脳に含まれるコリン誘導体)、脂質、乳酸は、精子の良悪において有意差が認められた。精子の成分は、精子の質を判断するバイオマーカーになるという。
合同研究チームは、現在、使用されている精子分子検査は、検査過程にて精子を損傷させるリスクが高いが、一方、磁気共鳴分光の精子検査では精子を損傷することなく分析ができ、不妊治療への導入が期待できると述べている。
また、磁気共鳴分光の精子検査には、質の悪い精子を改善する治療法が確立される可能性を秘めている。
(画像はPixabayより)

The University of Sheffield
https://www.sheffield.ac.uk/