低体重児や早産の要因
マックス・プランク人口統計研究所のミッコ・ムルスキュラ(Mikko Myrskylae)氏とロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのアリス・ゴイシス(Alice Goisis)氏は、「the American Journal of Epidemiology」にて、個々の生活環境、行動選択が低体重児や早産に影響を与えると発表した。
低体重児や早産において、母体年齢はリスクを高める決定的な要素ではないという。
母体年齢の定説
これまで、母体年齢が35歳以上の場合、低体重児(2500グラム未満)や早産(37週以前の出産)のリスクが高まると考えられてきた。
低体重児は、呼吸器系疾患や神経疾患、認知能力の遅れが生じる可能性が高い。また、早産は、心臓欠損、肺疾患、脳損傷、発達遅延の要因と成り得る。
母体年齢と胎児への影響
研究チームは、フィンランドにて1987年から2000年にかけて、2人以上が産まれた家族を対象に調査を実施した。調査結果において、出産年齢の上昇に伴い、胎児の低体重や早産のリスクが高まることは認められなかった。
一方、別データでは、母体年齢が40歳以上の場合、胎児が低体重になる確率は4.4%であり、25歳から29歳の女性と比べると倍増したと報告されている。
なお、低体重や早産など胎児へのリスクを高める要因を特定することが目的でないため、調査方法は異なり、統一されていない。
ムルスキュラ氏は、母体年齢が低体重児や早産に与える影響は小さくないと認める一方、妊娠期の生活環境や行動選択に留意する必要性を主張する。妊娠期におけるストレスや不健康な生活習慣は、胎児に対して母体年齢以上に大きな影響を与えると述べている。
(画像はPixabayより)

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