体外受精に代わる不妊治療
ニューサウスウェールズ大学やアデレード大学(共にオーストラリア)、ブリュッセル自由大学(ベルギー)による研究プロジェクトは、体外成熟培養において「Cumulin」と呼ばれる新たな成長因子を開発した。
プロジェクトリーダーであるロバート・ギルクリスト(Robert Gilchrist)准教授(ニューサウスウェールズ大学)は、「Cumulin」により不妊治療においてホルモン注射など薬剤の使用を省くことが可能になると述べている。
体外成熟培養の現状
体外受精では、卵子を成熟させる為に、女性は数週間にわってホルモン剤などを大量に服用する必要がある。
一方、体外成熟培養では、未成熟な卵子を成熟するまで子宮外にて培養する。ホルモン注射は最小限、あるいは接種不要となる。
体外成熟培養は体外受精より卵子の成熟期間は短いが、妊娠率は低い。妊娠率の観点より、不妊治療においては体外受精のほうが好まれて選択されている。
「Cumulin」による培養
「Cumulin」は、卵巣内の成長因子を模倣されている。「Cumulin」を豚の受精卵にて試したところ、受精卵の質は改善され、胚の生産性が倍加したという。
ヒトの受精卵に対する「Cumulin」を用いた前臨床試験では、標準的な体外成熟培養と比べ、薬剤の使用は最小限にとどまり、受精卵の数は50%増加したと報告されている。
現在、培養過程は、アメリカ食品医薬品局より認可されていない。認可の条件は、臨床試験に先立つ実地試験、出生率であるという。
現状、不妊治療において、体外成熟培養は利用されず、技術発展に長い時間を要すると考えられている。
専門家は、ガン患者など卵子の成熟期間が限られ、妊娠の可能性が低い女性にとって、体外成熟培養は効果的な治療法になると期待している。
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