精子鞭毛の形成不全と男性不妊
バージニア・コモンウェルス大学(アメリカ)が率いる研究チームは、研究論文を通して、鞭毛内輸送タンパク質「IFT20」が精子鞭毛の形成に重要な影響を与えると発表した。
研究論文「Intraflagellar Transport Protein IFT20 is Essential for Male Fertility and Spermiogenesis in Mice」は、オンライン雑誌「Molecular Biology of the Cell」にて公表された。
IFT20に関する研究
「IFT20」の繊毛の形成に必要不可欠な遺伝子であり、主に精子鞭毛の形成に必要とされるタンパク質を輸送する働きがある。一方、精子鞭毛の形成異常や鞭毛運動の異常は精子運動率を低くし、不妊の要因と成り得る。
研究チームは、精子形成において、ゴルジ体(細胞小器官)から精子鞭毛へタンパク質を輸送する際に「IFT20」が重要な役割を担っていることを確認した。
顕微観察を通して、微小管により形成されるマンシェット(細胞骨格構造)が形成中の精子尾部に向かって伸び、精子核まで輸送する為にタンパク質を一部分に集中させる様子が認められたという。微小管はタンパク質から構成され、管状の構造をもつ。
世界初となる研究
人間の精子は、哺乳動物細胞のうち、最も長い運動繊毛(精子鞭毛)をもつ。しかしながら、これまで、男性生殖細胞の発達に関する研究は存在しなかった。
また、男性不妊の要因は健康状態など多種多様であるが、男性生殖器の機能異常により不妊が生じるケースが最も多いといわれる。この場合、遺伝子が主な要因と考えられている。
(画像はイメージです)

VUC
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