妊娠と肥満の対する医療介入
アデレード大学ロビンソン研究所は、「The Lancet Diabetes & Endocrinology」にて、体重過剰・肥満の女性が妊娠を望む場合、妊娠前に医療介入が必要であり、医療関係者より食事・生活指導を受けるべきであると発表した。
同研究所のジョディ・ドット(Jodie Dodd)教授は、母親の過剰体重・肥満により、妊娠に伴う母子の健康リスクは高まり、巨大児・糖尿病など胎児の潜在的リスクも増加すると指摘する。
過剰体重・肥満の女性に伴う妊娠リスク
研究チームは、過剰体重・肥満の女性500人以上を対象に出産に関する大規模調査を実施した。被験者は2グループに分けられ、妊娠期に経口糖尿病治療薬「メトホルミン」を服用するグループ、妊娠期に医療関係者による食事・生活指導を受けるグループを比較した。
なお、メトホルミンの服用は、妊娠期の体重増加を抑制する目的に加え、臨床試験も兼ねていた。臨床試験では、肥満女性が妊娠期にメトホルミンを服用することにより得られる潜在的効果、母子の健康に対する影響を立証することが目的であった。
メトホルミンを服用した女性は、妊娠期における一週間あたりの体重増加が抑制され、妊娠期間を通した体重変動が体重増加基準を下回った。しかしながら、巨大児(出生時体重4キロ以上)、妊娠高血圧、妊娠糖尿病、帝王切開のリスク軽減は認められなかった。
ドット教授は、今回の研究結果と先行研究結果を考慮したうえで、過剰体重・肥満状態での妊娠は母子の健康に対するリスクが高いと述べ、妊活前に肥満の改善が求められると結論付けている。
(画像はPixabayより)

THE UNIVERSITY of ADELAIDE
https://www.adelaide.edu.au/news/news103922.html