早産と免疫疾患
セントルイス大学の研究チームは、在胎期に母親の胎盤を介して曝露した炎症量によって、出生後の子供は免疫反応が大きく変化すると発表した。
同大学のジョイス・マリー・ケーニヒ(Joyce Marie Koenig)教授は、妊娠件数10件に1件は早産であるが、多くの場合、早産の原因が特定できないと述べる。
一方、新生児医療の発展に伴い、超早産児であって高度な治療技術にて生存率は高まった。しかしながら、早産児、特に超早産児には生涯、疾患が付きまとう。超早産児のうち70%は、免疫疾患に問題があるという。
絨毛膜羊膜炎による早産
要因が特定できる早産のうち、大半は絨毛膜羊膜炎である。絨毛膜羊膜炎は、妊娠期の胎盤において最も生じやすい炎症性疾患である。膣の細菌感染が胎盤まで広がり、胎児を包む絨毛膜・羊膜に炎症を引き起こす。早産の要因であり、胎児脳・肺・腸に深刻な影響を及ぼす。
絨毛膜羊膜炎による早産では、出生後の子供に免疫疾患が認められる傾向が強い。
炎症は損傷や外傷に対する身体反応であり、免疫細胞「マクロファージ(貪食細胞)」が細菌・バクテリアを取り込み、一掃する状態である。しかしながら、身体に侵入した細菌・バクテリアの死滅したものの、免疫反応が継続され、持続炎症がある場合、身体に異常が生じる。
研究チームは、絨毛膜羊膜炎を免疫反応の継続・持続炎症と捉え、子供の免疫プログラムに影響を与える要因になると結論付けている。例えば、在胎期に炎症に曝露した子供は、気管支炎、小児喘息の発症リスクが高まるという。
(画像はプレスリリースより)

SAINT LOUIS UNIVERSITY
https://www.slu.edu/