新たな子癇前症の治療法
マサチューセッツ大学医学部の研究チームは、「Nature Biotechnology」にて、動物モデル実験を通して、低分子二本鎖RNA(siRNA)を用いたRNA干渉法に子癇前症の治療効果が認められ、子癇前症の症状を緩和できたと発表した。
同大学のアナスタシア・コヴォロヴァ(Anastasia Khvorova)教授によると、RNA干渉法では、子癇前症の症状を緩和させつつ、24、5週まで妊娠を継続でき、胎児の成長にとって非常に有益である。
子癇前症とは
子癇前症では、妊娠20週前後に高血圧、蛋白尿といった症状が現れる。胎盤に異常が生じ、タンパク質sFLT1の血中濃度が高まる。血管の増大が阻まれ、胎盤の血流量は減少し、胎児の成長に悪影響を与える。
また、症状が重症化した場合、赤血球の破壊、血小板の減少、腎臓・肝臓機能の低下、肺水腫や呼吸障害が引き起こり、母子の生命をも脅かす。
治療確立への展望
研究チームは、妊娠したマウス・ヒヒを用いた動物モデル実験を行った。妊娠したマウス・ヒヒにsiRNAを注射にて1回注入したところ、sFLT1の血中濃度が半減し、高血圧、蛋白尿の症状が軽減した。
現在、子癇前症の根本的な治療法は確立されておらず、子供を出産して妊娠を終了させることが治療法となる。それゆえ、今後、RNA干渉法は、ヒトに応用できると期待される。
(画像はプレスリリースより)

University of Massachusetts Medical School
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