遺伝子による早産の検知
マギル大学医療センター(RI-MUHC)の研究チームは、「Journal of Perinatology」にて、ノーダル遺伝子の発現より早産(妊娠37週未満での出産)を予期できる可能性を示唆した。
ノーダル遺伝子は分泌性因子であり、免疫システムを制御する。また、炎症性因子として、筋肉の収縮開始に伴い発現し、収縮の開始を促す。
早産は子宮の収縮により生じるが、メカニズムは解明されていない。同センター小児保健・人間発達プログラム(CHHD)のダニエル・デュフォート(Daniel Dufort)氏は、ノーダル遺伝子の働きより子宮の収縮開始に伴い発現すると推測でき、早産の兆候を検知できると考える。
ノーダル遺伝子の発現と早産
研究チームは、1999年から2004年に掛けて、カナダ・モントリオールの医療機関4ヶ所にて出産した女性613人(満期産424人、早産189人)を対象に、ノーダル遺伝子の発現、細菌性膣炎、胎盤の炎症と早産における関係性を考察した。
論文主著者であるリサ・スター(Lisa Starr)氏は、細菌性膣炎あるいは胎盤の炎症が生じ、ノーダル遺伝子の発現が認められたと報告する。デュフォート氏によると、妊娠期の子宮環境は抗炎症状態であるが、早産が生じる前に抗炎症状態から炎症誘発状態へと変化するという。
今後、更なる研究が必要とされるが、研究チームは、子宮環境の変化にノーダル遺伝子が影響すると考え、ノーダル遺伝子の発現により早産の兆候を検知できると期待する。
(画像はプレスリリースより)

McGill
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