母親が抱く妊娠関連の不安による影響
アールト大学とトゥルク大学(共にフィンランド)の研究チームは、「Journal of Affective Disorders」にて、母親が抱く妊娠関連の不安と乳児における悲しい内容に対する脳の反応には関連性があると発表した。
妊娠期に母親が妊娠関連の大きな不安を抱くことにより、乳児の脳において感情や言語理解を司る脳領域は、悲哀の内容を聞いた際の活性が低下すると報告された。
妊娠関連の不安は、外見の変化、分娩・出産、胎児の健康状態、産後の育児など、特に妊娠に伴う心配・懸念事を意味する。先行研究より、妊娠期の不安と胎児の神経発達における関係性は認められた。
今回の研究では、妊娠中期に妊娠関連の大きな不安を感じた母親は、妊娠後期に大きな不安を抱いた母親と比べ、母親の不安な感情が、より容易に胎児へ受け継がれると報告された。
母親が抱く妊娠関連の不安と乳児における悲しい内容に対する脳の反応
研究チームは、フィンランドの母子19組を対象に、拡散光トモグラフィ(DOT)にて乳児の脳機能を画像化した。
乳児に悲しい話を聞かせ、直後に乳児における血流の変化を観察したところ、妊娠24週目(妊娠中期)に母親が妊娠関連の不安を非常に強く感じていた場合、誕生した乳児の脳は、悲哀への反応が薄くなった。一方、妊娠34週目(妊娠後期)における妊娠関連の不安が大きかったとしても、胎児の脳に対する影響は非常に小さいと報告された。
(画像はプレスリリースより)

Aalto University
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