骨髄細胞の作用
イェール大学の研究チームは、「PLOS Biology」(9月12日掲載)にて、マウスを用いた動物モデル実験より、雌マウスにおいて骨髄細胞が妊娠成功に寄与したと発表した。
成人マウスの骨髄細胞に由来する幹細胞「間葉系幹細胞」が、妊娠結果(成功あるいは失敗)を決定付けると報告された。今回の発見によって習慣性流産(RPL)のメカニズムが解明され、治療できると期待される。
間葉系幹細胞とは
精子と卵子の受精後、子宮内では間葉系幹細胞の数が増加する。間葉系幹細胞は、特殊な子宮内膜細胞へと発達し、脱落膜(妊娠に伴い、肥大増殖して厚く柔らかく変化した子宮の粘膜)あるいは厚い子宮内膜を形成する。
脱落膜や子宮内膜は、発達中の胚に栄養を与え、最終的に胎盤の基盤を形成する。それゆえ、適切に機能しない場合、受精卵の着床失敗をまねく。
骨髄系前駆細胞は血球・他組織を生じさせるが、精子と卵子の受精に伴い、子宮に到達し、子宮内膜細胞を成熟させる。
妊娠に対する骨髄細胞の役割
研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を行い、妊娠に対する骨髄細胞の役割を検証した。新たな骨髄移植により卵巣の機能を損なわずに骨髄細胞を破壊したうえで、タンパク質「Hoxa11」を欠如させた。
「Hoxa11」欠如は人間に生じ、子宮内膜症・子宮粘膜下筋腫、流産などの妊娠失敗と関係する。合わせて、ヒト受精卵の着床にも影響を与える。
「Hoxa11」が一部欠如した雌マウスは、精子と卵子の受精、受精卵の着床は可能だが、妊娠継続は不可能な状態である。健康なマウスより骨髄移植を受けたところ、満期産まで妊娠が継続して出産に至り、誕生した子マウス数も多くなった。
一方、「Hoxa11」が完全に欠如した雌マウスでは、子宮内膜の発達に障害が生じ、受精すら不可能になる。同様に、健康なマウスの骨髄移植により、子宮内膜が正常に回復し、妊娠できた。
(画像はプレスリリースより)

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