卵子の成熟を操作
ヘブライ大学の研究チームは、「Genetics」にて、蠕虫(ぜんちゅう)を用いた実験より、卵子の質を落とすことなく、卵子の成熟を遅らせることに成功したと発表した。
これにより、女性の妊娠可能期間が拡大し、30代であっても、40代であっても高い卵子の質を維持することが可能になる。女性の妊娠可能性が年齢の影響を受けなくなり、キャリアなどライフスタイルに合わせて妊娠のタイミングを選択できる可能性が広がると期待される。
卵子の成熟に関する実験
研究チームは、ヒトと同数の遺伝子(2万個)を有する回虫を用いて、卵子の成熟に関する実験を行った。今回、実験に使用した回虫「C. eleganshas」は小さいが、遺伝子の数はヒトと同じであり、ヒト遺伝子を理解するうえで非常に有益であったという。
卵子の形成過程において回虫の遺伝子2万個における個々の変化をモニタリングしたところ、卵子の成熟リズムを制御する遺伝子「ogr-2遺伝子」を特定できた。さらに、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK、MAPキナーゼ)には、卵子の成長のオン・オフを調整するスイッチの役割があると認められた。
回虫からogr-2遺伝子を排除した場合、MAPKは過剰に作用し、回虫の卵子は非常に速く成熟した。また、研究チームが回虫の遺伝子配列により遺伝子の役割をテストしたところ、遺伝子編集された回虫は繁殖力が低下し、卵子は、年齢が高い回虫の卵子と酷似していた。
今回の研究を通して、卵細胞の老化が先天性欠損症、流産、不妊の主な要因であることが顕著になった。ヒト卵子は、老化に伴い、発達異常が生じる。35歳以上の女性では、体外受精における最適な卵子の選択をせず、自身の卵子から健康な赤ちゃんを生むのは要因でない。さらに42歳以上の女性に関しては、可能性は限りなくゼロに近い。
研究チームは、年齢が上がっても、女性が健康な子供を生める可能性を広げることを目指す。
(画像はTHE HEBREW YNUBERSITY OF JERUSALENMより)

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