早産児が抱えるリスク
オレゴン健康科学大学(OHSU)の研究チームは、「Journal of Neuroscience」にて、早産児は、脳の発達が未熟なまま誕生するゆえ、呼吸運動の調整ができず、脳が低酸素状態に陥り、脆弱性が高まると発表した。
早産は、妊娠37週未満の出産と定義される。早産児は在胎期間が短く、脳の呼吸中枢が未熟なまま誕生する。呼吸中枢は酸素を吸い込み、二酸化炭素を排出する呼吸運動を調整するが、呼吸中枢の発達が未熟であると呼吸運動の指示が出されず、結果的に脳が低酸素状態に陥る。
学習・記憶・注意・行動面に対する長期に亘る影響
研究チームによると、脳の低酸素状態が最低でも30分間続いた場合、脳の海馬は、構造・機能が破壊され、学習や記憶に大きな影響を受けるといわれる。
OHSUドーレンベッカー・チルドレンズホスピタルの新生児集中治療室(NICU)では、これまで600人以上の早産児をケアしてきたが、早産児のうち約3分の1は満期産児と比べて脳細胞が損失し、脳が小さいことが認められた。
脳細胞の損失や脳の縮小は、学習、記憶、注意、行動において悪影響を及ぼし、影響は長期に亘る。それゆえ、今回の研究において、早産児は、脳の発達が未熟であることより脳内が低酸素状態・酸素欠乏、血流不足になる傾向にあり、脳構造・機能に大きなダメージを受けるリスクが高まると報告された。
(画像はプレスリリースより)

OHSU
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