1回の移植胚数に制限 6サイクルまで治療費用を補償
ベルギーでは、不妊治療における胚移植数を制限し、高度生殖医療治療の6サイクルを補償する政策が、2003年7月から導入されている。この政策の結果、多胎妊娠のリスクは著しく減少したものの、妊娠率や出生率に悪い影響はなかったことが研究によってわかった。
この研究は、ヨーロッパの生殖医療ジャーナル「Human Reproduction」で発表された。政策が導入された2003年7月の前後3年間ずつの期間、43歳未満の女性で導入前に治療を受けた463名と、導入後に治療を受けた795名を対象に、出生率を調査した。
治療を受けたとされる条件は、補償範囲の6サイクルまで、子供が生まれる前まで、中止するまで、または治療開始後36ヶ月までのいずれかの期間で、治療を受けたこととされている。
その結果によると、政策導入前の全体出生率は65.6%だったが、導入後では60.8%となった。治療サイクルの期間別では、最初の2サイクルまでは低い出生率が見られたものの、続く4サイクルでの出生率では違いが見られなかった。そのため、政策導入前後での出生率に統計的な有意差はないと考えられる。
また、多胎妊娠率は、24%から12%と、50%の大きい減少が見られた。
不安と焦りを感じがちな不妊治療 ゆったり受けられる制度整備を
この論文の筆者は、体外受精による多胎妊娠のリスクを減らすため、このベルギーのモデルが世界各国の公衆衛生政策に示唆を与え、考慮されるはずだと述べている。
高額な費用から、焦ってしまいがちな不妊治療。不安のなく治療を受けられるよう、制度が整備されることに期待したい。

Human Reproduction
http://humrep.oxfordjournals.org/