レスベラトロールの、ヒトへの利用を目指した動物実験
抗酸化作用で知られるポリフェノールの一種、レスベラトロールが卵母細胞の成熟によい影響を与えることがわかった。この論文は、科学ジャーナル「Fertility & Sterility(妊娠と不妊)」で発表された。
この研究では、ヒトへの応用を目指してウシ亜科の動物を対象に行われた実験で、レスベラトロールの濃度別に、未成熟卵である卵核胞の状態から卵母細胞の培養が行われた。ホルモン濃度、細胞内グルタチオンなどの抗酸化物質、卵母細胞の発達過程、サーチュイン遺伝子の発現について測定された。
測定項目の統計分析の結果、レスベラトロールは、黄体ホルモンのプロゲステロン分泌の増加、卵胞ホルモンの17β-エストラジオールの減少に関連していた。卵母細胞にカスケードする分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)が、プロゲステロン濃度の上昇によって活性化された。
また、レスベラトロール濃度が0.1μMの場合に、卵胞細胞の発達過程である、卵丘膨張、極体形成、胚盤胞の率と平均値に向上がみられた。その一方で、活性酸素濃度の減少、グルタチオンの増加がみられた。抗老化遺伝子と呼ばれるサーチュイン遺伝子の発現は、顆粒膜細胞、卵丘細胞、胚盤胞内で確認された。
卵母細胞の成熟から胚の発達までをレスベラトロールが促進
結論として、レスベラトロールは、プロゲステロン分泌と抗酸化作用を誘発し、卵母細胞の成熟と、体外受精後の胚の発達を促進することが示されている。また、追加された研究で、サーチュイン遺伝子も促進されることが明らかになった。
プロゲステロンは、妊娠の準備・維持する働きがあるホルモンとされ、サーチュイン遺伝子は寿命の延長や抗老化の働きがあるとされる。
レスベラトロールは、赤ブドウの果皮・山菜のイタドリなどに含まれており、気軽に摂取できる食品に赤ワインがある。アルコールの量には注意しながら、料理など食生活に積極的に取り入れてみては。

Fertility and Sterility
http://www.fertstert.org/