ビタミンDの血中濃度で、妊娠率・生児出生率に差
アメリカの南カリフォルニア大学で行われた研究によると、ビタミンDが妊娠に重要な役割をしていることがわかった。
この研究は、卵子提供と体外受精による不妊治療を受けた女性、99名を対象に行われた。胚移植の前に、血液中のビタミンD濃度を計測し、妊娠の経過との関連性について分析した。
妊娠の第7~8週目で胎児の心拍を確認したところ、ビタミンDが欠乏していた女性のグループでは、37%の妊娠が確認されたが、ビタミンDが十分だった女性のグループでは、78%の妊娠が確認された。生児出生率では、欠乏していた女性グループでは31%、十分だった女性グループでは59%だった。
また、ビタミンD濃度が20ng/mL以下の欠乏状態の女性グループと、20~30ng/mLの不足状態の女性グループでは、妊娠の成功率と生児出生率に違いは見られなかった。
この結果から、ビタミンDが不足すると妊娠率や生児出生率が低くなることが考えられると示している。
不妊だけでなく妊娠中毒症の予防にも
2007年に行われたピッツバーグ大学の研究では、ビタミンDの不足が妊娠高血圧や妊娠糖尿病などの、妊娠中毒症を引き起こすことが示されている。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、骨を強化するなどの働きをもつ重要な栄養素だが、現代社会では不足しがちなビタミンの一つとしても知られている。健康な妊娠のために、自然な食品からビタミンDの積極的な摂取を心がけたい。

Fertility and Sterility
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