未婚女性に対する見解初
不妊治療などにより、「卵子凍結」の技術が発達する中で、婦人科医ら生殖医療の専門家で構成する「日本生殖医学会」(理事長・吉村泰典慶応大学医学部産婦人科教授)は23日、現在は不妊治療中の既婚女性や、がんなどの治療で卵巣機能が失われる女性にのみ認められている卵子凍結について、健康な独身女性にも認めるとした指針案をまとめた。9月の理事会などを経て、一般の意見も募集し、年内にも正式決定する。
晩婚化が進むにつれ、年齢が上がると妊娠が難しくなる「卵子の老化」が世間に広く知られるようになり、独身女性の間では将来の妊娠に備え、若いうちに卵子を凍結して保存したいという動きが広がっている。一部の医療機関では、こうした声にこたえた独自のサービスも提供され始めている。
40歳以上の卵子採取は奨励せず
しかしながら、凍結していた若い卵子を使って体外受精などの不妊治療を行っても、年齢などの問題から必ずしも妊娠、出産が可能になるわけではなく、未受精の卵子の凍結は技術的に難しいとされている。
また、卵子凍結には採取に数十万円、保存に毎年数万円がかかるとされており、高額な費用を請求されるといったトラブルも生じていることから、卵子凍結に関する一定のルールをまとめる必要が出てきた。
今回の指針案では、年を取ることで性腺機能の低下を懸念する場合は、健康な女性の卵子の凍結保存をする認めた上で、「40歳以上の卵子の採取は推奨できない」「高齢出産のリスクを避けるため、凍結保存した卵子を45歳以上で使用することは奨励できない」とした。
指針に法的拘束力はないものの、学会として指針を定めることで、不妊治療を行う国内の医療機関に周知する方針だ。

日本生殖医学会
http://www.jsrm.or.jp/index.html