開始後3か月で1534人が利用
妊婦の採血だけで、妊娠10週前後からダウン症など胎児の染色体異常を高い精度で調べることができる新型出生前診断。今年4月から日本医学会が認定した国内23の病院で導入されているが、開始から3か月後の6月末までに、全国で計1534人が利用し、全体の1・9%にあたる29人に「陽性」反応が検出され、このうちの2人が中絶を行っていたことが分かった。同診断の研究組織「NIPTコンソーシアム」の調査で明らかになった。
同診断で分かるのは、ダウン症の21トリソミー、呼吸障害などを伴う13トリソミーと18トリソミーの3種類のみで、受診するには1、高齢出産2、染色体異常の子の妊娠歴がある3、胎児の染色体異常の可能性が高いとの指摘を受けた―など一定の参加資格が必要だ。
同研究組織は当初、臨床研究の調査・症例規模を約1千人と見込んでいたが、実施には導入から3か月間でその1・5倍の検査が行われたこととなった。受検した妊婦の年齢層は27~47歳(平均38.3歳)で、予想を上回る検査数の背景には、不妊治療などの発達による高齢妊婦の増加が関係していると推測される。
陽性反応は全体の約2%
また、同診断で陽性反応が出た29件のうち、ダウン症の21トリソミーは16件、いずれも呼吸障害などを伴う、18トリソミーが9件、13トリソミーが4件だった。判定保留は3件あった。現段階で確定診断の状況が把握できているのは29件中11件で、このうち自然流産した1件を除く10件で腹部に針を刺して子宮から羊水を採取する「羊水検査」などの確定診断が行われた。その結果、8件中6件で染色体異常が確定し、2人が中絶を選択した。実際には異常のない「偽陽性」も2人いて、残りの2件は確定検査結果がまだ出ていない。
同診断を実施することについては、「命の選択」にかかわるのではないか?など、倫理的な問題も浮上しており、今後、専門家による検証作業が期待されるが、流産の危険性を伴わない形で、胎児の染色体異常の検査ができる点だけは一定の評価を下すことができるのではないだろうか。

「NIPTコンソーシアム」
http://www.nipt.jp/index.html