開始後1カ月で441人が受診
羊水検査のような流産の危険性もなく、妊婦の血液を使って、妊娠10週前後からダウン症など胎児の染色体異常を高い精度で調べることができる新型出生前診断。
受診するには
1、高齢出産2、染色体異常の子の妊娠歴がある3、胎児の染色体異常の可能性が高いとの指摘を受けたなど一定の参加資格が必要で、検査の内容や精度などの説明を受ける遺伝カウンセリングを受け、同意が得られた後、カウンセリングを評価するアンケート調査を経て、初めて検査が実施される。
新型出生前診断は4月から昭和大病院(東京)など全国の15施設でスタートしているが、受診した人が4月の開始からわずか1カ月で441人に上ったことが明らかになった。今月10日に札幌市で開かれた日本産科婦人科学会学術講演会で、同大学などの臨床研究チームが4月末までの実績結果として発表した。
それによると、受診理由の9割が高齢妊娠であり、受診者の年齢は30歳~47歳で、中でも39歳と40歳が多く、妊娠週数が平均で13・7週であることが分かった。また、検査結果が出た257人のうち、「異常あり」を示す陽性と判断されたのは9人で、このうち、ダウン症の「21トリソミー」が6人いたことも判明した。6人のうち、2人は羊水検査を受け、確定診断を済ませているという。
検査で分かる疾患は限定
何らかの先天性疾患の赤ちゃんが生まれる頻度は全出産例の3~5%と考えられており、新型出生前診断で分かるのは、
ダウン症の21トリソミー、呼吸障害などを伴う13トリソミーと18トリソミーの3種類だけだ。検査結果が出るまでには2週間ほどかかる。にもかかわらず、臨床研究チームの予想を上回る受診者があったということは、インターネットなどによってもたらされる多過ぎる情報に翻弄(ほんろう)され、高齢出産による赤ちゃんの先天異常に不安を募らせている妊婦が多いと考えることもできる。
検査を受けてからも、無事に赤ちゃんが生まれるまで心配は続くだろうが、出産や育児について、夫婦が納得できる判断を下すという意味では、意義のある検査になるのではないだろうか。

日本産科婦人科学会
http://www.jsog.or.jp/index.html昭和大学病院
http://www.showa-u.ac.jp/SUH/