救急外来受診時に、治療開始できないケースが多い
ミシガン州立大学から、「妊婦さんで性感染症(STD)にかかっている人の治療開始が遅れがちであり、治療率も低い」という報告がアメリカの学会誌に掲載されました。
これは、腹痛、吐き気、異常なおりものや不正出血などを訴えて救急外来を受診する妊婦さんを中心に行われた調査です。対象は735人の女性。このうちの179人が妊娠しており、その8割が子宮頸管炎を起こしていたにもかかわらず、救急外来受診時に適切な治療が行われていませんでした。薬の処方で、辛い症状がなくなると、原因が明らかになっていなくても退院してしまうケースが多いためです。
救急外来受診時には診断がつかず。後日の治療率は8割止まり
診断は、多かった順に膣炎、尿路感染症、切迫流産などでした。143人がこれらの症状を引き起こす原因として淋病またはクラミジアにかかっていたにもかかわらず、検査結果が出る前に病院を離れてしまっており、このうち電話などを通じて後日治療を受けた人は8割にとどまり、そのほかの人はおそらくは治療を受けていないと考えられています。
妊娠中のSTDがデリケートな話題である原因は、これによってパートナーの浮気が疑われることがあるのも一つの原因でしょう。STDと言われている病気の中には、性行為以外で感染するものもあります。
STDの感染が流産の引き金になったり、赤ちゃんの発達に影響を及ぼしたりすることもあります。おかしいな、という症状があったら、お腹の赤ちゃんを守るためにもいち早く受診し、適切な治療を受けるべきでしょう。

Underrecognition of cervical Neisseria gonorrhoeae and Chlamydia trachomatis infections in pregnant patients in the ED
http://www.ajemjournal.com/article/