九州芸術祭文学賞選考結果
2013年1月22日、第43回九州芸術祭文学賞の最終選考結果が発表された。最優秀作は該当作なし。佳作に、曽原紀子さん(50)の「青いうぶ声」が選出された。
九州芸術祭文学賞は、芥川賞作家の大道珠貴さんらを輩出してきた九州・沖縄の新人作家の登竜門で、曽原さんが最終選考に残ったのはこれで5度目。小学校教諭である傍ら、小説を書き続け、九州芸術祭文学賞には1999年から毎年応募してきたという。
今回の応募総数は250編に上った。その中から選ばれた優秀作11編が、作家の五木寛之氏、村田喜代子氏、文芸評論家の秋山駿氏、「文学界」編集長の田中光子氏により最終選考されたのだ。
受賞作「青いうぶ声」
受賞作品は、かつて助産師であった90歳の女性が、過去の記憶や、今現在の問題の中で、真摯に“生”と向き合うというもの。
戦時中、防空壕の中で赤ん坊を取り上げた記憶や、今現在不妊症に悩んでいる孫娘の話などを織り交ぜながら、「命はつながっていく」という当たり前の事実を描き切っている。「命のつながりを書く気構えに共感を覚える」などと評価された。
表彰式は3月18日に、宮崎市の宮崎観光ホテルで行われる。また作品は、「文学界」の4月号に掲載される予定だ。

西日本新聞
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