がんの治療、世界で20人目の妊娠成立
オーストラリアでは、通常抗がん剤を用いたがんの治療を行う女性に行われる卵巣組織の凍結保存が、一般の女性の不妊や、更年期障害の治療法としても役に立つとする専門家がおり、倫理的な側面から議論の的になっています。
保存する卵巣組織を取り出すのは至って簡単。通常おへそからお腹の中に内視鏡を入れて、必要な組織を取り出すことになり、即日に終了する処置です。必要な時期が来たら、この細胞を再び卵巣に移植すると、自然な排卵が再開するとのことです。
実際、オーストラリアでは2005年に、乳がんの治療に先立って、この措置をとっていた女性が、43歳の現在、妊娠中とのことです。これは、オーストラリアでは初、世界では20例目にあたるとのことです。
不妊治療への応用にも可能だが倫理的側面から反対意見も
現在多くの専門家の間では、この方法はあくまでも、がんにかかった女性が、治療によって妊娠する機能を失わないために行うと考えているそうです。女性の妊娠する時期すらも操作することは、自然の法則に反すると解釈されているのです。
一方で、卵巣組織の採取や保存は、IVF(体外受精)に比較しても、処置も簡単で、費用も低く抑えられることから、この方法を不妊に悩む女性にも開放した方がよいのではないかとの意見が出てきているのです。
今後様々な調査や意見交換が行われる分野ですが、こうした話を聞くと、生殖技術がどんどん進歩していることを実感できますね。

SMH.COM ; Science beats fertility clock
http://www.smh.com.au/national/health/