体外受精前(前周期)の子宮鏡検査
現在、多くの不妊治療クリニックでは治療の一貫として、体外受精前(前周期)に子宮鏡検査を行う。
ミュンヘンで開催された「第30回ESHRE会議」にて、ガイズ・アンド・セントトーマス病院(英・ロンドン)のTarek El-Toukhy医師は体外受精前に子宮鏡検査を実施した場合も、実施しなかった場合も治療結果に相違は生じないと報告した。
(画像はイメージです 撮影者:
gabi menashe)
大規模なランダム化比較試験
2010年から2013年の間、ヨーロッパの体外受精センター8か所にて、38歳以下の女性700人以上を対象に大規模なランダム化比較試験が実施された。無作為的に被験者を選び、前周期に子宮鏡検査を行うグループ、子宮鏡検査を行わないグループの2グループに分けた。
子宮鏡検査を行ったグループのうち11%に子宮腔に異常が確認され、出生率は31%であった。子宮鏡検査を行わなかったグループの出生率は29%であり、体外受精結果に相違は生じなかったという。
子宮の生体組織検査
比較試験結果より、前周期の子宮鏡検査にて体外受精成功率が上がるとは言い難い。一方、El-Toukhy医師は2008年、独自に実施したメタ分析を通して、前周期の子宮鏡検査により体外受精成功率が上がるとのデータも得ている。
現在のところ、子宮鏡検査の必要性、治療成功率との関連性は解明されていない。El-Toukhy医師によると、体外受精サイクルのうち妊娠に至る確率は3分の1であり、一般的に体外受精における受精卵移植の失敗は胚(受精卵)や子宮が要因である。
医師は、子宮鏡検査より子宮(子宮内膜)の生体組織検査を行うほうが治療成功に繋がると述べている。子宮の生体組織検査を行った場合、体外受精成功率が70%以上増加したという。

NEWS MEDICAL
http://www.news-medical.net/news/20140630/ESHRE2014
http://www.eshre2014.eu/Guy’s and St Thomas’
http://www.guysandstthomas.nhs.uk/