精子異常が要因でない不妊症に関する研究
ランカスター大学のフランシス・L・マーティン(Francis L. Martin)をはじめイギリス、中国の研究者グループは、精子異常が要因でない不妊症に関する研究報告書を「Journal of proteome research」にて発表した。
不妊症で悩む男性のなかには、精細胞は正常であり、不妊症診断・検査で異常が見当たらない場合がある。これらの男性は、精子異常が要因でない不妊症であるという。
(画像はイメージです 撮影者:snre)
尿検査にて男性の不妊診断可能に
研究者らは118人の男性(不妊症でない男性:71人、不妊症の男性:47人)を対象に研究を実施した。
被験者のうち37人の尿を検査サンプルとして調査試験を行ったところ、5種類の尿内代謝物質(ロイコトリエンE4、3‐ヒドロキシパルミトイルカルニチン、キサンチル酸、メチルトリプトファン、アスパラギン酸)の相対濃度により男性の不妊診断が可能と分かった。
尿検査により不妊症である男性の約86%、不妊症でない男性の87%を正確に判別できたという。
尿内代謝物質は、エネルギー生成、酸化防止、精子形成におけるホルモン量調整といった働きがある。これらの物質量が減少すると精子形成における生成物質バランスが崩れ、不妊症を引き起こす要因となる。
尿検査による不妊診断の信憑性
フランシス・L・マーティンによると、尿検査による不妊診断は従来の検査よりも信憑性が高いという。(従来の検査では患者のうち約75%が不妊症と判別可能)
ベイラー医学大学(Baylor College of Medicine)のドロレス・J・ラム( Dolores J. Lamb)博士は、尿検査による不妊診断に期待し、不妊治療での導入にむけて詳細な研究が必要だと述べている。フランシス・L・マーティンら研究者グループは、今後さらに研究を進めていくという。

INTERNATIONAL BUSINESS TIMES
http://www.ibtimes.co.in/Journal of proteome research
http://pubs.acs.org/doi/abs/C&EN
http://cen.acs.org/articles/92/web/