出生率2.0未満=人口減少の危機
2012年5月16日に世界保健機関(WHO)が発表した「World Health Statistics 2012(世界保健統計2012)」によると、フランスの合計特殊出生率は2.0。一方日本は192か国中下から3番目の1.4にとどまっている。この差はどこから来たのだろうか。「ビジネスジャーナル」の記事「出産させないシステムが完成した日本~破滅衝動=結婚をなぜ越えられないのか?」をもとに考えてみたい。
(画像はイメージです)
「子どもを産ませないシステム」としての日本社会
「経済的な理由」・「自己実現のため」など理由はさまざまだが、現代日本の女性は結婚・出産後も仕事を続けることが普通だとされている。だが仕事でキャリアを積むためには長期間にわたる就業経験が不可欠だが、長期間仕事に打ち込んでいては妊娠可能な時期を逃してしまう。無事子どもをさずかることができたとしても、「育休を取りづらい」、「保育園・幼稚園が少なく利用出来ない」、「夫からの『家事を完璧にこなしてこその仕事だろ』といった心ない言葉」などの障害が待っている。女性が「仕事」と「家庭」を両立することは絶望的に難しいのが現状だ。「ビジネスジャーナル」の記事は、現代日本社会を「子どもを産ませないシステムとして、美しい閉じたループを描いて完成」していると伝えている。
婚外子差別がないフランス
一方、2011年に合計特殊出生率2.03を実現したフランスの場合、「婚外子の親権共同行使」を1990年代に原則化。子どもの養育費は父母両方が負担。払わない場合は国が徴収する。この制度は事実婚のカップルの間に生まれた子どもや、離婚家庭の子どもにも適用されるため、日本のように「離婚した元夫が養育費を払わない」といった心配はなく安心して子どもを育てることが可能だ。
このように「子どもに対する親の養育責任が徹底している」「婚外子に対する差別がない」というのが、出生率の高い国の特色なのだが、養育責任はともかく、婚外子に対して抵抗をもつ人が多い日本で完全に真似をするのは難しいだろう。2010年の調査によると、未婚男女の9割が「いずれは結婚しようと考えている」という結果が出ている。婚のサポートも必要かもしれない。

平成25年版少子化社会対策白書 概要版
http://www8.cao.go.jp/合計特殊出生率ランキング、国別順位 - WHO世界保健統計2012年版
http://memorva.jp