未成熟卵子を採卵、培養し体外受精を行うIVM-IVFプロセス
カナダ モントリオールのロイヤル ビクトリア病院で、体外成熟培養(IVM)を行う際の未成熟卵子の採卵と、通常の体外受精(IVF)を行う際の成熟卵子の採卵で、合併症の率や痛みの度合いについての研究が行われた。
体外成熟培養(IVM)は、卵巣内での卵胞成長に問題が考えられる場合や、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクのため排卵誘発を行うことができない場合など、成熟卵子を採卵できない時に行われる、体外受精の前プロセスの1つだ。
未成熟卵を採卵するため、通常の体外受精(IVF)で行われる成熟卵子の採卵と比較すると容易ではなく、実用化されているものの、採卵時のタイミングなど、まだ研究段階にある技術でもある。
この研究では、188の体外成熟培養(IVM)と、188の通常の体外受精(IVF)の採卵データを対象に、採卵時の時間、合併症の率、痛みの度合いの測定項目について、分析が行われた。
(この画像はホームページより)
それぞれの採卵プロセスで痛みの差はほとんどない
結果によると、採卵にかかった時間では、体外成熟培養(IVM)では22分、通常の体外受精(IVF)では15分で、未成熟卵子の採卵の方が時間が長くかかった。体外成熟培養(IVM)を受けた2名の女性と、通常の体外受精(IVF)を受けた4名の女性で、卵巣内などの体内出血があったが、入院や輸血、手術などの必要はなかった。
痛みの度合いについては、採卵後、腹部の重い痛みが、体外成熟培養(IVM)を受けたグループで1名、通常の体外受精(IVF)を受けたグループで5名見られた。各グループの、痛みの度合いの平均値は、前述の順で3.4、3.8で、大きな違いは見られなかった。また、体外成熟培養(IVM)を受けたグループ、通常の体外受精(IVF)を受けたグループともに、それぞれ1名ずつ骨盤内感染症が見られた。
結論として、体外成熟培養(IVM)での採卵は、通常の体外受精(IVF)と比較して時間がかかるものの、痛みの強さや感染症のリスクに関連はないと示されている。
心身ともに不妊治療の負担を軽減
体外成熟培養(IVM)は、まだ研究段階ではあるものの、排卵誘発剤を回避できることなど、体への負担を軽減することができる。これからの発展に期待したい。

Fertility and Sterility
http://www.fertstert.org/