明らかになった陣痛開始のメカニズム
2月19日、バッファロー大学(アメリカ)の研究チームは、同大学プレリリースを通じて、HAND2遺伝子が陣痛開始に関与すると発表した。研究論文は、「eLife」(2月1日)に掲載されている。
ヒトと動物における陣痛メカニズムの違い
例えば、動物の場合、妊娠に伴い、プロゲステロン(黄体ホルモン)量が上昇し、分娩の数時間前になるとプロゲステロンの分泌が妊娠前の値まで低下する。プロゲステロンには子宮の収縮を抑制する働きがあり、プロゲステロン分泌量の低下によって子宮は収縮し、陣痛が開始される。
しかしながら、ヒトの場合、動物の陣痛メカニズムには当てはまらず、これまで、ヒト陣痛のメカニズムは解明されていなかった。
妊娠期間・陣痛開始タイミングとHAND2遺伝子
今回、研究チームは、哺乳類(ヒト、アルマジロなど)、有袋類(オポッサム、カンガルーなど)、産卵種(カモノハシ(産卵する哺乳類)、鳥類、トカゲ、カエルなど)を用いて、妊娠中(胎児・卵)の子宮内膜にて活性化する遺伝子を解析した。
包括的な解析を通じて、哺乳類では、妊娠中の胎盤の子宮内膜にてHAND2遺伝子がオンになることが確認された。HAND2遺伝子は心臓の発達に関与するが、妊娠中の子宮にてオン状態となったことから、母体と胎児のコミュニケーション促進に関係すると考えられる。
合わせて、妊娠期におけるHAND2遺伝子量の変化を調べたところ、妊娠期間を通じて活性は低下し、陣痛開始が近づくと低値に達した。研究チームは、HAND2遺伝子は妊娠期間、陣痛開始のタイミングに関連すると結論付ける。
(画像はプレスリリースより)

University at Buffalo
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