着床不全をまねく要因とは
2月1日、中国の研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、栄養膜(子宮内膜表面と接触して子宮内膜中に入り込みながら胎盤を形成する)を制御するうえで、細胞外小胞(EV)は不可欠であると発表した。
細胞外小胞は細胞間コミュニケーションを介して、免疫応答、血液凝固などのプロセスに関与する。
今回、着床不全(3回以上良好な胚・受精卵の移植を繰り返しても妊娠しない)の場合、細胞外小胞における細胞増殖・浸潤・遊走が低下することによって、栄養膜の機能は阻害されることが認められた。
子宮内膜細胞と受精卵の着床
研究チームは、着床不全の女性18人、生殖能力・機能に問題がない女性13人を対象に子宮内膜を採取した。採取した子宮内膜から子宮内膜細胞を切り取って培養し、条件培地(培養細胞自身に改良させた培地)を用いて細胞外小胞を分離させた。
細胞外小胞をヒト絨毛細胞株(HTR8-SVneo)と共に培養したところ、健康な女性に由来する細胞外小胞では、着床不全の女性より増殖率が高くなった。また、着床不全の女性に由来する細胞外小胞では、健康な女性と比べて栄養膜の浸潤・遊走能力は低下した。
研究チームは、細胞外小胞における増殖・浸潤・遊走の低下によって栄養膜の機能が阻害され、受精卵(胚)の着床失敗が生じると考える。
(画像はSpringer Linkより)

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