不妊男性の精子特性
2月2日、イタリアの研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、不妊男性において、精子DNA断片化指数(損傷したDNAを持つ精子の割合)と精子形態には強い相関関係があり、形態異常精子はDNA損傷を最も含むと発表した。
不妊男性の精子DNA断片化指数と精子形態における関係性
精子は、運動率や形態が正常であるものの、酸化ストレスなどのダメージによるDNA断片化(精子DNAが損傷している)の場合があるという。
研究チームは、2019年1月から2020年2月の期間、卵細胞質内精子注入・顕微授精(ICSI)を受けた不妊男性125人を対象に運動精子を採取し、TUNEL法(アポトーシスによるDNA断片化を特異的に検出する)と画像解析ソフトウェアを用いて、精子DNA断片化指数を計算し、精子DNA断片化指数と精子形態における関係性を検証した。
なお、男性一人あたり最低250個の精子が採取できた。精子DNA断片化指数に基づき、被験者を2グループ (15%以下:65人、15%以上:60人) に分けて比較したところ、精液特性において統計的差異は認められなかった。
一方、精子形態と精子DNAの損傷には強い相関関係が確認され、DNA損傷は、形態異常精子に最も含まれていた。また、精子DNA断片化指数15%以上のグループでは、15%以下と比べ、精子DNAの断片化が生じた正常形態精子の割合が高くなった。
研究チームは、卵細胞質内精子注入・顕微授精プロセスにおいて、正常形態精子の精子DNA断片化指数を活用することによって受精成功率が改善されると考える。
(画像はSpringer Linkより)

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