胎児ミクログリアの変異による影響
神戸大学院の研究チームは、「Scientific Reports」にて、マウスを用いた動物モデル実験を通じて、胎児ミクログリアの変異が発達障害および精神疾患に関与していると発表した。
発達障害・精神疾患におけるミクログリア突起の運動性の変化
ミクログリア(小膠(しょうこう)細胞)は脳の免疫細胞であり、突起の拡張・退縮によってニューロンおよびシナプスを制御し、脳実質を監視する。それゆえ、突起の運動性は、ミクログリアの生理機能において極めて重要な役割を担っている。
今回、研究チームは、発達障害などの発達障害、精神疾患におけるミクログリア突起の運動性の変化に着目し、在胎期(出生前)に母体炎症・母体免疫活性化(MIA)に晒された胎児マウス、正常マウスを用いた動物モデル実験を行った。
母体炎症・母体免疫活性化(MIA)とは、妊娠期のウイルス感染・自己免疫疾患による母体免疫反応の活性化である。MIAマウスと正常マウスのミクログリア突起の運動性を比較したところ、MIAマウスでは、ミクログリア突起の運動性に変異が生じることが認められた。
また、ミクログリア突起の運動性における変異は出生後も残り、自閉症スペクトラム障害などでみられる社会性行動の異常に関与すると判明した。
ミクログリア突起の運動性の変異は神経ネットワークに影響を及ぼすが、今後、変異のメカニズムを特定することにより、発達障害および精神疾患の治療法を確立できると期待される。
(画像はプレスリリースより)

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