食生活と精子DNAメチル化
ルビーラ・イ・ビルジーリ大学などの研究チームは、「Andrology」にて、洋食が主食である場合、短中期的にナッツ3種(アーモンド、ヘーゼルナッツ、くるみ)を摂取することにより、特定のゲノム領域において精子DNAがメチル化されたと発表した。
DNAメチル化(遺伝子の働きを制御する化学的修飾)は、細胞分裂など体の形成に重要なメカニズムであるといわれる。
ナッツ3種類の短中期的な摂取と精子DNAメチル化における関係性
精子の質は、環境要因およびラフスタイル要因による影響を受ける。特に、近年、食生活は、精子の質を低下させる一因であると考えられている。複数の先行研究では、精子DNAメチル化の変異と精子の質に密接な関係があると報告されている。しかしながら、これまで、食事と精子DNA機能における関係性は評価されていなかった。
今回の研究では、初めて、ナッツ類の摂取が精子DNAメチル化に与える影響に着目した。研究チームは、「FERTINUTS」(2018年実施調査)のフレームワークを用いて、洋食を主食とする健康な男性72人を対象に、ナッツ3種類(アーモンド、ヘーゼルナッツ、くるみ)の短中期的な摂取と精子DNAメチル化における関係性を検証した。
被験者は良好な健康状態であり、非喫煙者であった。精子の36ゲノム領域におけるメチル化を観察したところ、ナッツ類を摂取した男性は、領域の97.2%に高度のメチル化が認められた。つまり、食生活と精子DNA機能には関連性があり、精子エピゲノムは食事内容による影響を受け、受精能力が変化するという。
(画像はWiley Online Libraryより)

Wiley Online Library
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/andr.12911NEWS MEDICAL
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