妊娠期のアルコールとニコチンの危険性
ヒューストン大学の研究チームは、「Scientific Reports」にて、妊娠期の女性が飲酒ならびに喫煙をしている場合、認知障害、学力低下、注意欠陥多動性障害(ADHD)を含む、胎児の健康リスクが高まると発表した。
アルコールとニコチンの共曝露により、胎児の遺伝子およびmiRNA(遺伝子発現を抑制する21-25塩基(nt)長の一本鎖RNA分子)は大幅に変化する。
妊娠初期の飲酒および喫煙は、胎児の神経回路網の形成、細胞発生・成長および細胞伝達に関与する遺伝子発現制御機構(遺伝子発現の調節)を大きく変化させ、胎児脳の発達において重大な欠陥を引き起こす要因に成り得る。
アルコールとニコチンが胎児脳の発達に及ぼす影響
研究チームは、妊娠中の母親に対するアルコール治療、ニコチン治療を通じて、遺伝子の示唆的な発現増加および、示唆的な発現減少を認めた。
アルコールとニコチンは、中脳皮質系ドーパミン経路を活性化させてドーパミンホルモンの放出を誘発し、脳内報酬系に作用する。ドーパミン作動性神経(ドーパミン作動性ニューロン)の特徴的構造は長い軸索であり、脳の異なる領域に機能的ネットワークを構築させる。
妊娠初期のアルコールとニコチンの共曝露は、ドーパミン細胞の成長、神経細胞移動、神経軸索ガイダンス(神経系の発生段階にて正しく神経回路形成を行ううえで重要なプロセス)、ニューロトロフィンの細胞シグナル、グルタミン酸性シナプス(グルタミン酸作動性シナプス)に悪影響を及ぼし、胎児脳の発達を妨げる。
(画像はプレスリリースより)

UNIVERSITY of HOUSTON
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