ウイルスの垂直感染
カリフォルニア大学デービス校の研究チームは、「American Journal of Perinatology」(6月5日掲載)にて、新型コロナウイルス感染症(COVID‐19)の原因ウイルス「SARS-CoV-2」が垂直感染・垂直伝播(親から子へ伝播)すると発表した。
今回、妊娠期に母親が新型コロナウイルス感染症に感染した場合、ウイルスが母から子へ移行することが認められた。研究チームは、妊娠期に母から胎児へウイルスが伝播するタイミング・経路を理解することは非常に重要であると強調する。
在胎中・産後に母から子へ伝播
新型コロナウイルス感染症の垂直感染メカニズムには3通りあると考えられ、母から胎児へのウイルス感染(子宮内感染)は、妊娠中いかなるタイミングにて起こり得る。
母の急性感染症によるウイルス血症(血液に侵入したウイルスが全身へと移動する医学的状態)では、胎盤を介してウイルスが胎児へ伝播する。胎児に対する影響は、妊娠中の母親がウイルス感染した時期、胎児の成長段階によって異なる。例えば、母親が妊娠後期に感染した場合、胎児は、出産時に感染する可能性が高くなる。
一方、分娩中あるいは出生直後に母から子へウイルスが伝播した場合、子供は出産2週間前あるいは生後2日内にウイルスに感染し、母親あるいは子供と密接に関わる人が感染経路として発症したと考えられる。
ウイルスの潜伏期間は14日間であるといわれ、生後1日の新生児ではPCR検査結果が陰性であったが、生後2日目から14日目の間にて陽性に成り得る。また、生後2週間から3週間後に抗体テストを行い、陽性反応が出ることもある。
それゆえ、妊娠中・産後に新型コロナウイルス感染症に感染した母親をもつ子供は、検査結果が陰性であったとしても、体調に注意を払う必要がある。
(画像はUCDAVIS HEALTHより)

UCDAVIS HEALTH
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