ケトン食によるPCOS治療効果
8月15日、イタリアの研究チームは、「Nutrients」にて、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療において、ケトジェニックダイエット(ケトン食)は有益であると発表した。
PCOSは高アンドロゲン状態とインスリン抵抗性によって引き起こる
PCOSは妊娠適齢期の女性にみられる分泌系疾患であり、高アンドロゲン状態とインスリン抵抗性(IR)によって引き起こるといわれる。
病態の中心は高アンドロゲン状態とインスリン抵抗性にあると考えられ、代謝、心理、生殖能力に悪影響を及ぼす。初期段階は、低出生体重や産後の異常な体重増加をはじめ、脂肪細胞の増殖、脂肪沈着、中心性肥満と関連する。
それゆえ、早期発見・早期診断が重要となり、それによって心血管の健康や生殖能力が改善・向上する可能性が増す。
また、PCOSの治療では、食事やライフスタイルへの介入に焦点を当てることが多い。特に、ケトン食はインスリン抵抗性ならびに炭水化物のコントロールに効果的であると考えられる。
ケトン食とPCOSにおける関係性
研究チームは、文献データベース「PubMed」「Medline」「Web of Science」「Scopus」を用いて、過去15年以内に英語で発表されたヒトを対象とした研究文献を対象に分析を行い、ケトン食によるPCOS治療効果を検証した。
PCOSに対する効果について更なる研究の余地はあるものの、ケトン食にはPCOSにおける体重、インスリン抵抗性、グルコース、脂質恒常性の調節に有益な効果があることが認められた。
なお、ケトン食は低血糖、高脂肪の食事であり、糖質を脂質に置き換える。炭水化物の摂取量を1日あたり30gから50g減らし、脂質をたっぷり摂取してケトーシスを誘発する。
身体がケトジェニックな状態になると、糖質に多く含まれるグルコースではなく、脂肪から生成されるケトン体がエネルギー源となり、脂肪が燃えやすくする。
(画像はNutrientsより)

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