妊娠期の食事による影響
8月30日、アメリカ生理学会は、「American Journal of Physiology」にて、妊娠中の母親が高脂肪な食事を摂ることにより、子供の喘息リスクは増すと発表した。
妊娠中の食事は子供の呼吸器系に影響を与える。今回、妊娠中の高脂肪食は子供の呼吸器系の神経発達を変化させ、その結果、喘息リスクは高まることが認められた。なお、研究論文は、「Lung Cellular and Molecular Physiology」に掲載されている。
妊娠中の高脂肪食と子供の喘息リスクにおける関係性
これまで、妊娠中の高脂肪食と子供の喘息リスクにおける関係性は指摘されてきたが、その原因は不明であった。そこで今回、オレゴン健康科学大学の研究チームは、マウスを用いた動物モデル実験を行い、妊娠中の高脂肪食と子供の喘息リスクにおける関係性を検証した。
雌マウスに対して8週間、高脂肪飼料を与えた後、通常の飼料に切り替えたところ、通常の飼料を与えた雌マウスと比べて妊娠中の体重増加は大きく、インスリン抵抗性が高く上昇して血中インスリン濃度が上昇した。
また、高脂肪飼料を与えた雌マウスから生まれた子マウスは、性別に関係なく、呼吸器系の神経発達に変化が生じ、神経伝達物質「サブスタンスP(喉や気管の神経内に蓄えられる物質)」が増加した。「サブスタンスP」は気道炎症を引き起こし、気管支喘息や慢性気管支炎といった気道疾患の病態に関与している。
つまり、妊娠中の母親が高脂肪食を摂ることによって子供の喘息リスクは高まり、症状の重症度は増すという。
(画像はAmerican Physiological Societyより)
American Physiological Society
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