血清抗ミュラー管ホルモンと精液の質
2月28日、コペンハーゲン大学病院(オランダ)の研究チームは、「BMC Medicine」にて、男性不妊において、血清抗ミュラー管ホルモン(AMH)と精液の質には関連性があると発表した。
男性の場合、抗ミュラー管ホルモンは精巣のセルトリ細胞(精子形成を補助する細胞)で産生される。胎児期の男児では、性発達において抗ミュラー管ホルモンの分泌が非常に重要である。
今回、血清抗ミュラー管ホルモン値が低い不妊男性では、精液の質は低下することが認められた。あわせて、ビタミンDには、抗ミュラー管ホルモン転写を活性化し、精液の質を改善する効果はないと報告された。
ビタミンDが抗ミュラー管ホルモンに与える影響
研究チームは、オランダの医療機関にて不妊男性307人を対象に、ビタミンDが抗ミュラー管ホルモンに与える影響を検証した。
ビタミンD投与グループ(300000IUコレカルシフェロール単回投与、150日間1日あたり1400IUコレカルシフェロールとカルシウム500mg投与)とプラセボグループにおいて、血清抗ミュラー管ホルモン値、血清抗ミュラー管ホルモン値と性腺機能における関係性を比較した。
不妊男性において血清抗ミュラー管ホルモンと精液の質には関連性が認められ、抗ミュラー管ホルモンが低い不妊男性は、精子濃度、精子数、精子運動率、インヒビンB/FSH比(AMH/FSH比)が顕著に低く、精巣サイズは小さくなった。
一方、血清抗ミュラー管ホルモンが高い不妊男性と比べて、卵巣刺激ホルモン(FSH)は高くなった。
また、これまで、ビタミンDには抗ミュラー管ホルモン転写を活性化し、精液の質を改善する効果があるといわれてきた。しかしながら、今回、そのような効果はビタミンDに確認されなかった。
(画像はBMC Medicineより)
BMC Medicine
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