母親のPCOSが子供へ及ぼす影響
7月14日、カナダの研究チームは、「ESHRE2022」(7月3~6日、イタリア・ミラノ開催)にて、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の母親から誕生した子供は健康リスクが増加すると発表した。
母親がPCOSと診断されている場合、その子供は、13歳までの感染症やアレルギーなどの疾患リスクが増すという。なお、研究論文は「Human Reproduction 」に掲載されている。
PCOSと子供の疾患リスクにおける関係性
研究チームは、2006年から2020年の期間、PCOSの母親から誕生した子供7160人を対象に、PCOSが子供へ及ぼす影響について検証した。
PCOSと診断された母親から誕生した子供では、性別に関係なく、PCOSと診断されていない母親の子供と比べて他の疾患による入院率は32%、感染症による入院率が34%、喘息などのアレルギー疾患による入院率では47%増加した。
また、代謝疾患、中枢神経系疾患、耳疾患、肺炎などの呼吸器系疾患、精神疾患や精神障害、行動障害の発症率も高まった。
PCOSの女性は、胎盤の異常によってアンドロゲンとインスリン抵抗性が上昇しやすい。インスリン抵抗性とは、インスリンに対する感受性が低下してインスリンの作用が正常に機能していない状態である。つまり、血糖を下げる働きのあるインスリン血中濃度が上昇しやすい。
しかしながら、今回の研究では、PCOSが子供の疾患リスクを高めるメカニズムの特定には至らなかった。
(画像はEshreより)

Eshre
https://www.eshre.eu/Press-Room/Press-releases-2022/