膣内培養を用いた体外受精の実態
4月15日、テキサス大学オースティン校(アメリカ)の研究チームは、「Journal of Assisted Reproduction and Genetics」にて、膣内培養を用いた体外受精では、単胎児の妊娠結果に悪影響を及ぼすことはないと発表した。
新たな胚培養の方法が開発される
過去40年間で、体外受精は不妊治療の標準治療となった。採卵した卵子を体外で精子を受精させ、培養機器(インキュベーター)を用いて体外にて数日間培養し、正常に成長した受精卵を子宮へ戻して着床を促す。
しかしながら、この方法では、高額な治療費が問題とされる。そこで、最近、胚培養の新たな方法として「膣内培養」が開発された。
膣内培養では、体外にて卵子と精子を受精させた後、ガス透過性密閉容器に受精卵を入れ、膣内で数日間培養する。これは、従来の培養機器による培養と比べて、低価格であるという。
膣内培養を用いた体外受精と妊娠結果における関係性
今回、研究チームは、膣内培養66件(単胎児50件、多胎児・双子16件)を対象に、膣内培養を用いた体外受精と妊娠結果における関係性を検証した。
誕生した子供の健康状態を調査したところ、単胎児のうち低出生体重児4人、早産児3人、巨大児1人となり、平均出産週数は妊娠38週4日、平均出生体重3159.1gと報告された。
一方、多胎児の平均出産週数は妊娠33週4日、平均出生体重1992.9gと報告された。27人が低出産体重の条件を満たし、また、24人は早産であった。
調査結果を受け、研究チームは、単胎児を妊娠・出産する場合、膣内培養を用いた体外受精が妊娠結果に悪影響を及ぼすことはないと考える。しかしながら、多胎児の場合では、膣内培養によって低出産体重率や早産率が高まると指摘する。
(画像はJournal of Assisted Reproduction and Geneticsより)

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