妊娠中のカフェイン摂取による健康影響
11月11日、ペンシルベニア大学(アメリカ)の研究チームは、同大学プレスリリースを通じて、妊娠中のカフェイン少量摂取は、妊娠糖尿病リスクを下げると発表した。
今回、1日あたりのカフェイン推奨量(200ミリグラム)を超えない限り、妊娠中における少量から適量のカフェイン摂取によって、妊娠糖尿病、子癇前症、高血圧リスクが高まることはないと報告された。
なお、研究論文は、「JAMA Network Open」にて掲載されている。
妊娠中のカフェイン摂取について
妊婦の1日あたりの推奨量や摂取目安量は200ミリグラム(180ミリリットルカップ2杯)といわれる。妊婦のカフェイン過剰摂取は、妊娠損失リスクを高め、胎児の成長発育に悪影響を及ぼす。
しかしながら、これまで、妊娠中のカフェイン摂取と母子の健康影響における研究結果は限定的であった。
妊娠中のカフェインによる健康影響
研究チームは、アメリカ国立こども人間発達研究所のコホート研究「NICHD Fetal Growth Studies-Singleton」(2009~2013年、アメリカ12医療機関)を用いて妊婦2529人を対象に、妊娠中のカフェインによる健康影響について検証した。
コホート研究中、被験者は、1週間あたりのコーヒー、カフェイン飲料、清涼飲料水、エナジードリンクの摂取量を報告している。
妊娠10週から13週に胎盤のカフェイン量を測定したところ、カフェイン摂取量と妊娠糖尿病リスクにおいて関係性はないことが確認された。
妊娠中期では、1日あたりのカフェイン摂取量が100ミリグラム未満である場合、妊娠糖尿病リスクの低下につながり、47パーセント減少した。
一方、妊娠中のカフェイン摂取、カフェイン未摂取において、血圧、子癇前症および高血圧リスクに顕著な相違は認められなかった。
研究チームは、カフェインによってエネルギーバランスは改善し、脂肪量が減少すると考える。また、コーヒーや紅茶に含まれるファイトケミカル(植物中に含まれる化合物)が、糖尿病の原因となる炎症やインスリン抵抗性に効き、妊娠糖尿病リスクを軽減させると推測する。
カフェイン摂取を推奨するものではない
しかしながら、カフェイン未摂取の妊婦に対して、カフェイン摂取を推奨するものではない。先行研究では、妊娠中のカフェイン摂取による危険性も指摘されている。
今回の研究は、日常的にカフェインを摂取する女性が妊婦した場合、1日あたり少量から適量摂取であるなら、カフェインによって妊婦糖尿病、子癇前症、高血圧リスクが高まることはないという意味である。
(画像はプレスリリースより)

Penn Medicine
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