体外受精の最新動向
6月30日、サールグレンスカ大学病院(スウェーデン)の研究チームは、ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)にて、「胚盤胞移植」「凍結融解胚移植」により、体外受精における出生率が着実に増加していると発表した。
近年、体外受精では、「胚盤胞移植(採卵後4~7日目の胚盤胞期胚を子宮に戻す)」と「凍結融解胚移植(凍結保存した受精卵を融解して子宮に戻す)」が選択される傾向にある。
ゾーハ・サケット(Zoha Saket)医師は、体外受精において凍結保存した受精卵を体外にて胚盤胞期胚まで培養した後、子宮に戻すことによって出生率が改善すると説明する。
凍結保存した受精卵の胚盤胞移植
これまで、複数の研究論文にて、初期胚・分割期胚(採卵後2~3日目の胚)の胚移植と比べて、胚盤胞移植は出生率が高くなると報告されていた。
今回、研究チームは、スウェーデンのコホート研究(2007~2017年、体外受精約125000件)を用いて胚盤胞移植および凍結融解胚移植の効果を定量化したところ、2007年から2017年に掛けて体外受精による出生率の増加が認められた。
採卵1サイクルあたりの累積出生率を比較すると、2007年は27%であったが、2017年には36%まで増加していた。また、スウェーデンの体外受精動向では、年々、初期胚移植の件数は減少し、胚盤胞移植の件数が増加する傾向にある。
これより、体外受精による出生率の増加には、胚盤胞移植および凍結融解胚移植が大きく関係していると説明できる。胚盤胞移植は、生理学的観点から自然妊娠で生じる受精卵・胚の成長により近い状態であるという。
(画像はプレスリリースより)

ESHRE
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