凍結融解胚移植に伴う受精卵着床前検査の効果
5月24日、アメリカの研究チームは、「Human Reproduction」にて、習慣性流産(RPL)の女性が体外受精において凍結融解胚移植を行う場合、受精卵着床前検査(PGT‐A)により妊娠率(臨床的妊娠率)および出生率は改善すると発表した。
なお、流産を2回以上繰り返す場合を反復流産、を習慣性流産(RPL)と定義される。
凍結融解胚による体外受精におけるPGT-Aの効果
PGT-Aでは、胚移植に伴い、体外受精による胚の染色体数を検査する。これまで、不妊治療において、体外受精で得られた胚のうち、正倍数性胚(染色体数が正常な胚)を子宮に戻すことにより、妊娠・出生率が向上すると考えられてきた。
今回、研究チームは、「生殖補助医療協会臨床結果報告システム(SART-CORS)」を用いて、不妊治療中の夫婦10060組、凍結融解胚による体外受精12631サイクル(2010~2016年実施)を対象に、凍結融解胚による体外受精におけるPGT-Aの効果を検証した。
調査対象であった体外受精サイクルのうち、4287サイクルは卵管障害起因の不妊であった。あわせて、被験者は、年齢ごとに35歳未満、35歳から37歳、38歳から40歳、41歳から42歳、42歳未満にグループ化された。
習慣性流産を起因とする夫婦において、PGT-Aを実施有無による妊娠率(臨床的妊娠率)、出生率、自然流産・化学流産(生化学的妊娠)を比較したところ、PGT-A実施によって臨床的妊娠率および出生率が改善されることが認められた。
今回の研究は限定的であり、あらゆる習慣性流産のケースに当てはまるとは言えないが、凍結融解胚による体外受精サイクルで3回以上の流産を繰り返す場合、PGT-Aが有益に働くといえる。
(画像はHuman Reproductionより)

Human Reproduction
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