男性不妊と遺伝子の関連性
3月31日、トゥルク大学(フィンランド)の研究チームは、同大学プレリリースを通じて、Y染色体と男性不妊において関係性があると発表した。研究論文は「eLife」(3月30日)に掲載されている。
Y染色体の遺伝子変異型が男性生殖機能に及ぼす影響
今回、トゥルク大学病院にて、精子形成障害のエストニア人男性2300人以上を対象にDNA解析を行ったところ、Y染色体の特定グループに属さないサブタイプを有する男性は、生殖機能異常・男性不妊リスクが約9倍増加することが認められた。
なお、このサブタイプのY染色体をもつ男性は、ヨーロッパ系の男性に多いという。
これまで、Y染色体領域を男性不妊における関係性は立証されており、男性不妊における主な遺伝学的要因といわれる。
今回、着目されたY染色体の特定グループに属さないサブタイプは、遺伝子バリアント(変異型)であり、ゲノム再編成リスクを著しく増加させる。
ゲノム再編成(染色体の融合・分裂、ゲノム配列の逆位・転座・重複などにてゲノムが変化すること)は、精子生産・精子形成プロセスに影響を及ぼし、その結果、生殖機能異常・男性不妊リスクが約9倍まで高まった。
また、この遺伝子バリアントは、深刻な精子形成障害を引き起こすとも報告された。
今後、遺伝子バリアントによる分子診断によって不妊診断が改善され、早期不妊検査・治療が実現されると期待される。例えば、幼少期など、早期に生殖機能異常・男性不妊リスクが高い男性を特定して、早い段階から不妊治療を開始できる。
早期不妊検査・治療は、生殖機能異常・不妊男性の子供をもてる可能性を高める。
(画像はプレスリリースより)

BioNews
https://www.bionews.org.uk/page_155710UNIVERSITY OF TURKU
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