母親のメンタルヘルスによる影響
12月2日、トリノ大学(イタリア)などヨーロッパの研究チームは、「Thorax」にて、母親の摂食障がいは、子どもの呼吸器系に対して悪影響を及ぼすと示した。
母親が摂食障がいである場合、拒食症(神経性無食欲症)や過食症(神経性大食症)などの障がい種類、うつ病や不安障がいなど併発疾患の有無、症状の持続期間(妊娠前・妊娠中・産後)に関係なく、子どもの喘息・喘鳴リスクは高まるという。
妊娠前の摂食障がいが子どもの呼吸器系に対して与える影響
今回、研究チームは、ヨーロッパ出生コホート研究「EU Child Cohort Network (EUCCN)」にて母子131495組を対象に母親の摂食障がいが子どもの呼吸器系に対して与える影響について検証した。
障がいの種類、症状の持続期間、併発疾患の有無に基づき評価したところ、母親の摂食障がいと子どもの呼吸器系疾患において関連性が示された。
母親が妊娠前から摂食障がいである場合(うつ病や不安症の併発を含む)、未就学児の喘鳴リスクは全体として25%上昇した。また、学童期の喘息リスク(小児喘息リスク)は、26%増えたという。同様に、拒食症・過食症と小児喘息・喘鳴における関連性も認められた。
なお、うつ病や不安症の併発、発症時期や期間(妊娠前・妊娠中・産後)による大きな差異はないという。研究チームは、母親のメンタルヘルスの悪化によって視床下部-下垂体-副腎系は活性化し、胎児の肺の発達と免疫系の成熟は阻害され、その結果、呼吸器系疾患リスクが増すと推測する。
(画像はプレスリリースより)

BMJ Group
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